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スタートアップが有効に使える銀行融資

起業してすぐに使える創業融資から、起業後しばらくしてから検討すべき資本性ローンなど、スタートアップが検討すべき銀行融資をリストアップします。

  1. 創業融資
  2. 日本政策公庫の制度融資
  3. 地銀・信用金庫からの融資
  4. 資本性ローン

1. 創業融資

起業家にむけた融資制度としては最も有名で、正式名称は「新創業融資制度」、最大3,000万円までが無担保・無保証で融資されます。

>日本政策金融公庫の説明サイト

上記サイトから概要をまとめると以下のようになります。

項目内容説明
融資利用者
            
次の2要件の両方に該当する方
 
①対象者の要件
新たに事業を始める
または
事業開始後、税務申告を2期終えていない
 
②自己資金の要件
新たに事業を始める方、または、1期目を終えていない方については、
創業資金の10分の1以上の自己資金を確認できる
 
ただし、一定要件に該当する場合は、本要件を満たすものとする。
                                             
資金の使途事業に必要な設備資金および運転資金
 
補足説明人件費や原材料仕入など、明確に事業に関連する費用は認められやすい一方、例えばオフィス敷金など、必要投資ではあるものの、事業成長との関連性を明確にしづらい支出は認められないことがあります。
融資限度額3,000万円(うち運転資金1,500万円)
 
補足説明 :制度上の満額では3,000万円ですが、目安としては「自己資金1,000万円準備できる前提にて1,000万円の融資が下りる」くらいの感覚が通常です。不足分については、地銀・信金からの借入を組み合わせるケースが多いといえるでしょう。
返済期間融資制度に基づく個別決定
(概ね「数ヶ月据え置き」+「4年~5年の元利金 約定返済」が多い)
利率(年)基準金利の場合は「2.4%~2.8%程度
担保・保証人原則不要

補足説明:原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及びません。一方、法人代表者が連帯保証人となることも可能であり、その場合は利率が0.1%低減されます。

>> 創業融資 / 日本政策公庫の制度融資 / 地銀・信用金庫からの融資 / 資本性ローン

2. 日本政策公庫の制度融資

日本政策金融公庫では、創業融資以外にも、起業前後の会社を主な対象とした制度融資が複数あり、その代表的なものをご紹介します。

新規開業資金

日本政策金融公庫の説明サイト

主な特徴
創業7年以内の会社のみ
・融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・基本的には連帯保証あり
・創業融資と比べると、「連帯保証ありの分、融資額が増える可能性がある」制度融資といえる

女性、若者/シニア起業家支援資金

日本政策金融公庫の説明サイト

主な特徴
創業7年以内の会社のみ
女性 または 35歳未満か55歳以上の方
・融資限度額7,200万円(国民生活事業の場合)
・基本的には連帯保証あり (1,000万円程度までの融資であれば交渉の余地あり)

>> 創業融資 / 日本政策公庫の制度融資 / 地銀・信用金庫からの融資 / 資本性ローン

3. 地銀・信用金庫からの融資

創業融資で希望額を得られなかった場合、地銀・信金(特に信金)から追加的に融資を得ることで希望額を満たすアプローチが考えられます。

信用金庫は多数あるので、本社所在地などをベースに一度調べてみるとよいでしょう。

また、「創業融資の獲得支援サービス」を提供している会社は、実態として「創業融資+信金融資」により融資総額をなるべく引き上げるというサービスを提供することが多く、信金とのネットワークも豊富にあるため、(手数料として数%程度は発生するものの)アドバイザーとしての起用を検討する価値があります。

代表的なアドバイザーとしてはSoLabo(ソラボ)があり、本記事を作成している税理士法人ZeLoも業務提携しています。

創業時サポートに対応している主な信用金庫

西武信用金庫
東京信用金庫
朝日信用金庫
城南信用金庫
横浜信用金庫

>> 創業融資 / 日本政策公庫の制度融資 / 地銀・信用金庫からの融資 / 資本性ローン

4. 資本性ローン

資本性ローン( 正式名称は「挑戦支援資本強化特例制度」)の概要は以下の通りです。
 
・融資限度額は4,000万円(国民生活事業) or 3億円(中小企業事業)
無担保、無保証
赤字の場合、金利は0.95% (国民生活事業の場合。中小企業事業の場合は適用した貸付制度の利率が適用)
・融資額は(金融機関における融資審査等において)「資本」とみなされる

>日本政策金融公庫の説明サイト

上記サイトにて融資対象企業の詳細が説明されていますが、スタートアップ目線で検討する場合は、
VC調達での不足分を補うためのローン
と位置付けるのがシンプルでわかりやすいでしょう。

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